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(2) 第2次地上復帰(完全地上棲)

(2) 第2次地上復帰(完全地上棲)

本文

[体毛喪失の危機]
[母子が移動不能]
[体毛のなくなる遺伝病]
[近親淘汰で……]

・完全地上棲の動物になったのは、人類ただ一種だけだった。
・人類は、今から約100万年くらい前に、改めて完全地上棲になる第2次地上復帰を行なったのだと思う。
・この第2次地上復帰は、何か樹上に退避できなくなる重大な危機に遭遇し、止む無く行なわれたものだろうと言われている。そして、その危機こそは、多分《体毛の喪失》だったのだと思う。
・毛が無くなると、母親は子を連れて木に逃げ登れなくなる。子供を残して親だけが木に逃げ上がったりしていては、その種はその代限りで間違いなく絶滅である。また、母親は、群れの移動にも付いては行けない。樹上と地上の両棲類的生活をし、群れ全体で移動をして食糧を採取していたサルにとって、これ以上の危機は他にはなかろう。
・ラーマピテックス(千数百万年前)のころに両棲類的地上復帰を果たした類人猿の中に、数百万年前に、高頻度で毛なしザルの生まれて来る遺伝病を持ったサルが現れてきた。
・S・ウォシュバーンが言うように「何万という異なった場所で、何千万回も繰り返され、何百万年の年月を掛けて」遂に完全地上棲(せい)になることに成功した毛のないサル達がいたのである。もちろん、大変な実力をその身に付けたことによって、それが果たせたことはいうまでもあるまい。
・毛のないサルの生まれて来る遺伝病を持つ類人猿は、毛のないサルばかりが生まれて来る人類と、一応別れて生活をするようになった。だが、両者は食糧や生活する環境が、即ち、生態的時空が殆ど同じだった。そのため、その後強大な実力を身に付けた人類によって、毛のある両棲類的生活を続けていた類人猿は、近親淘汰によって結局淘汰されてしまったのである。進化でいつも問題にされるミッシング・リンクになってしまった分けである。
・一説には、洞窟から発見されるホモ・ハビリスと呼ばれる猿人の化石が、人類の祖先になった毛のないサルのものではないかと言われている。また、ある学者は、その近親淘汰劇を、オーストラロピテックスとバラントロップスの闘いとして、またある学者はそれを、ホモ・ハビリスとオーストラロピテックスの闘いとして紹介している。

 毛のない、と言うことは、生存を脅かすようなマイナス材料だった。ところが、そんな毛のないサルが生き延びて行ったのは、僕には、そこに強い絆があったような気がしてならない。さらに、言うなら、そこにあったもの、それこそが「愛」ではなかったかと思う。
 この時の、すばらしい「愛」を人間は忘れてはならないだろう。

第1章第3節あらまし

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