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「続スピリチュアリズム入門」への感想14

 善悪論と言うのは、この「続スピリチュアリズム入門」を読んで、僕が一番疑問に思って来たことの要である。僕は、何も、頑なに自分の考えに固持するつもりはない。「続スピリチュアリズム入門」に説得されても、いいと思っている。いや、できれば説得してもらい、納得させてもらった方が、よほど楽である。よって、ここで僕は、考えを改めるかもしれない。そんな気持ちで読んでみよう。
「地上における善悪観は常に“相対的・流動的”なのである」
「皆『自分が正しい』と思っているものであり、その自分の考えと合わない相手を『間違っている』と考えるのである」
 おっしゃる通りだ。でも、
「霊界・宇宙のすべてが神によって造られている以上、個人・地域・時代の差を超えて、共通・普遍的な善悪基準があるはずである」
 となると、少し納得し難いな。
「スピリチュアリズムでは“善悪の基準”を――『魂の成長を促すものは善』と、実に単純に見事に言い切っている。つまり、少しでも魂の成長にプラスとなるものは“善”(もちろん程度の差はあるが)そして魂の成長にマイナスとなるもの――成長を阻害したり停滞させるものや状況が“悪”と言うのである」
 となると、訳が分からないな。
「では魂を成長させるもの(善)とは、具体的にはどのような内容を指すのであろうか。霊的成長を為すための大原則・基本条件は、地上人においては“霊主肉従”である。霊を優位に置き、肉的・物質的欲求に振り回されない生活をすることである」
 となると、ますます分からなくなる。
「地上人が“肉主霊従”という状態に陥り、霊が肉のコントロール下・支配下にある時には魂の成長はあり得ない。全体として肉的・物質的方向性を持つところからは、“利己性・自己中心性”しか生じない」
 となると、だんだん情けなくなって来る。何故なら、地球上に最初に生まれたのは原生動物である。ほとんど考える力もない原生動物が、「肉的・物質的欲求に振り回されない生活」など行わなくても、立派に人間に進化して来たではないか。だいたい、最初に、
「地上における善悪観は常に“相対的・流動的”なのである」
「皆『自分が正しい』と思っているものであり、その自分の考えと合わない相手を『間違っている』と考えるのである」
 と分析しながら、どうして、
「霊界・宇宙のすべてが神によって造られている以上、個人・地域・時代の差を超えて、共通・普遍的な善悪基準があるはずである」
 という結論になるのだろうか。ここには重要な点が欠落している。それは、宇宙は、
「試行錯誤」
 によって進化して来たという明確な事実である。「共通・普遍的な善悪基準」があるのなら、「試行錯誤」など行わないだろう。そんなものがないからこそ、より良きものを目指し、魂は壮大な旅を続けているのだろう。
 ここで今一度、書いておこう。「続スピリチュアリズム入門」では、何度も「利他」という言葉が出てくるが、そんなに「利他」を貫きたいなら、植物も含め、他の生命を一切犠牲にすることなく、太陽エネルギーだけを養分に変えて、生きてみればいい。神は、光合成という、そんなシステムが一方で存在するにもかかわらず、動物を作り、それを食べる動物を作り、弱肉強食の世界を作り、地球の生命の進化の速度を上げて来た。そこで生まれたのが人間である。それが罪だと言うのなら、罪を作ったのは神自身だろう。
 さらに、ここで出て来る「霊主肉従」という言葉にしろ、「霊主肉従」などと偉そうに語れるのは、人間の脳が、進化を重ねたからこそ、言える言葉だ。もし、仮に、この世界に物質世界を超えた霊の世界があるとするなら、人間と言うものが、この現世に誕生するまでは、「霊主肉従」も「肉主霊従」も何も、この世界はおろか、霊界ですら、考えることすらできなかったはずである。それでも、人間が生まれた。これを、どう説明するのだろうか。
 行き過ぎた利己主義は、確かに容認することはできないだろう。だが、同じように、行過ぎた利他主義も、元来、成り立たないものである。となると、「利他主義」も「利己主義」も、善悪とも、魂の成長とも、関係がないと考えるのが、自然な結論ではないだろうか。
「地上生活の意義は、善悪同居する中で、その両方の世界を体験する過程を通じて、いっそう“善の意義・善の大切さ”を知ることにある。悪の誘惑に抗したり、時には失敗しながら、それを克服しようとするプロセスを通じて魂は成長していく」
 というのは、その前提となる「利他主義」が崩れてしまうと、単なる自己満足でしかない。まあ、「試行錯誤」による「善の実践」も、最終的には、あくまで自己満足なのだから、それが悪いと言うことではないが、それが真理ではないことは確かである。「“善の意義・善の大切さ”を知ること」ではなく、この世界には「"悪はない"ということを知ること」「"善の追求"によって真理を知ること」こそが、僕らの生きる目的ではないかと思う。

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