(3) 生物の進化システム(2)……有性生殖
(3) 生物の進化システム(2)……有性生殖
本文
[進化の加速度]
[別の進化システムがあるはず]
[新しい変化のシステム=有性生殖]
[減数分裂]
[交 配]
[第2システムの弁証法構造]
[有性生殖の威力]
[優性選択の仕組]
[雌雄の差異の根本]
[選択の主客]
[最高級の進化システム]
・爬虫類より哺乳類の方が、進化速度が5倍も速かったのである。これは一例で、あらゆる進化において、進化は、後期になるほどスピード・アップしているのである。即ち、生物の進化は、これまで加速度的に行われて来ているのである。
・数学では、変数が1次の場合は加速度は生じない。加速度は、変数が2次以上であり、その導関数が変数を持つ方程式になっていないと生じてこない。
・遺伝と変異の進化システムは、弁証法的構造になっているとは言っても、維持の機能(正)に比べて変化の機能(反)の方が極めて弱体であり、それは、かなりアンバランスなシステムなのである。そこで神様は、能率の悪い変化の機能を強化すべく《有性生殖》というもう一つ別の変化の機能を作り足されたのである。《有性生殖》の変化の機能は、一つは《減数分裂》であり、もう一つは《交配》である。
・間は2倍体の生物である。2倍体の生物というのは、生体を再構築するのに必要な遺伝情報を、夫々二揃いづつ持っている生物のことである。なお。その内の一揃いは父からのものであり、もう一揃いは、母からのものである。2倍体の生物でも、生殖細胞(卵子,精子)は遺伝情報を一揃いしか持っていない。二揃いの遺伝情報を持っている普通の細胞1個が、一揃いの情報しか持っていない生殖細胞2個に分裂する分けで、そうした仕方の分裂だから、それを《減数分裂》と呼ぶのである。
・卵子が受精すると、精子の遺伝情報を加えて、二揃いの遺伝情報を持つ2倍体の普通の細胞(受精卵)になる。そうなってから分裂を開始して生体発生をする分けだが、その場合、遺伝情報が二揃あるので、鼻は父からのもの、眼は母からのものというように、ランダムにそのどちらかを選んで使いながら、生態構築作業を進めて行く。そのようにして、遺伝子の混(ま)ぜ合せが行なわれる分けである。それがまた、進化のための変化の機能になる。即ち、有性生殖には、《減数分裂》による組み合わせ変化と《交配》による混ぜ合わせ変化の二つの変化機能が備わっているのである。
・この宇宙では、変化の機能が強度に働き過ぎると、反(かえ)って変化を少なくしてしまうという《偏差逓減の法則》が働いている。
・神様は、その激(はげ)し過ぎる変化の機能である有性生殖に、制限の枠を填(は)められたのである。即ち《種の確立》てある。神様は、交配は同種間で行った場合にのみ有効で、異種間の交配では、一代雑種が出来るとか、或は発生不能になるとかして、子孫は残せないという掟(おきて)を定められたのである。通常はそれを《不稔の境界》と呼んでいる。
・カンブリア紀に行われた生物の爆発的分科こそは、神様が有性生殖という進化システムを作り足されたことによって起ったものであることは間違いあるまい。
・神様は、この有性生殖のシステムを土台にして、ポピュレーションを減ずることなく、しかも《優性選択》の実の方は充分に上がるという巧妙なシステムを、各種お作りになった。前掲の《蟻の結婚飛行》《ハーレム》《精子競泳》がそれである。それ等の《優性選択》のシステムのどれもが、雄(おす)の方だけが淘汰選択の対象になっており、雌(めす)には、淘汰が及ばないように出来ていることに気付かれたい。
・幼少時の死亡率が、雄(おす)の方が雌(めす)よりも遥かに高いということは、生体の発生成長の仕組みの中からは、そうなる必然性のようなものは全く見出せない。だから、どうもこれは、神様が、実効ある優性選択を実現するために、故意にそのようになさった、或は、故意に雄(おす)をひ弱にお作りになったと考えるより他にないのである。そうした論理から、幼少時の死亡率が男性の方が高いという優性選択の仕組みは、神様が意識的に作り出された《淘汰原理》の一つであることはほぼ確実である。
・生殖細胞は、蛋白質の製造工場等を整備しているものと、それを整備せず、ただDNAのテープとその運搬手段だけしか持っていないものとの2種に別れた。そして我々は、蛋白質製造工場等を整備している方を《雌(めす)》と呼び、DNAのテープだけしか持っていない方を《雄(おす)》と呼んでいる理(わけ)である。この辺りに、神様の木目の細かい経済性、合理性が伺える。
・優性選択に際して、淘汰選択の対象になるのは、当然《雄(おす)》の側ということになる。精子競泳では、卵子内突入に成功する1尾を残して、他の数億というような膨大な数の精子が、未使用廃棄処分にされている。そうした精子に、蛋白質製造工場等を持たせたりしていては、とても経済的にやっては行けなくなる。神様は、そういうことで、《雌(めす)》を選択の主体にし《雄(おす)》を選択の客体としてお作りになったのである。両者の性格等の違いも、そうした関係性を基盤にしてお決めになったようである。ところで、そうした性格の違いから、人間の場合には、両性の間に、損得が生じてくる。そのことに関しては、また別の機会に詳述することになると思う。
・宇宙の歴史を科学的に観察すると、性(セックス)=有性生殖は、神様がお作りになった最も高度で、最も巧妙な進化システムなのである。
男と女というのは人類の永遠のテーマかと思っていたら、何と、人類よりも、はるか昔、今から6億年ほど前、カンブリア紀が、男の女の起源と聞くと、正直、驚いてしまう。確かに、雄同士が雌を巡って、喧嘩をしたり、技を競ったりする様子は、動物を見れば、珍しいことではない。それが有性生殖を持つものの宿命と考えれば、男と女の問題に、なかなか答えが出て来ないことも当然と言えば、当然だろう。
と考えると、神がいる、いないは別として、この世界が望んでいたものの1つが見えてくる。それは当たり前のことだが「進化」ということだ。僕は、進化というのは、その時々の環境の適応するために成されるものだと考えて来た。つまり、環境の変化というものの中で、何とか生き残るために生まれたシステムが「進化」だと思っていたのだが、それは違うというのが、この項目を読むと分かって来る。目的は「環境への適応」ではなく、目的は「進化」そのものだろう。そう考えないと、わざわざ炭素資源を地球から奪い、遺伝と変異というシステムを作り、さらに有性生殖まで作る意味はない。何故なら、「環境への適応」だけが目的だとするなら、今もなお原生生物が存在する理由を説明できないからだ。
何故なのか分からないが、この世界は「進化」を求めている、ここで僕が、そう断言しても間違いはないだろう。
第1章第2節あらまし
本文
[進化の加速度]
[別の進化システムがあるはず]
[新しい変化のシステム=有性生殖]
[減数分裂]
[交 配]
[第2システムの弁証法構造]
[有性生殖の威力]
[優性選択の仕組]
[雌雄の差異の根本]
[選択の主客]
[最高級の進化システム]
・爬虫類より哺乳類の方が、進化速度が5倍も速かったのである。これは一例で、あらゆる進化において、進化は、後期になるほどスピード・アップしているのである。即ち、生物の進化は、これまで加速度的に行われて来ているのである。
・数学では、変数が1次の場合は加速度は生じない。加速度は、変数が2次以上であり、その導関数が変数を持つ方程式になっていないと生じてこない。
・遺伝と変異の進化システムは、弁証法的構造になっているとは言っても、維持の機能(正)に比べて変化の機能(反)の方が極めて弱体であり、それは、かなりアンバランスなシステムなのである。そこで神様は、能率の悪い変化の機能を強化すべく《有性生殖》というもう一つ別の変化の機能を作り足されたのである。《有性生殖》の変化の機能は、一つは《減数分裂》であり、もう一つは《交配》である。
・間は2倍体の生物である。2倍体の生物というのは、生体を再構築するのに必要な遺伝情報を、夫々二揃いづつ持っている生物のことである。なお。その内の一揃いは父からのものであり、もう一揃いは、母からのものである。2倍体の生物でも、生殖細胞(卵子,精子)は遺伝情報を一揃いしか持っていない。二揃いの遺伝情報を持っている普通の細胞1個が、一揃いの情報しか持っていない生殖細胞2個に分裂する分けで、そうした仕方の分裂だから、それを《減数分裂》と呼ぶのである。
・卵子が受精すると、精子の遺伝情報を加えて、二揃いの遺伝情報を持つ2倍体の普通の細胞(受精卵)になる。そうなってから分裂を開始して生体発生をする分けだが、その場合、遺伝情報が二揃あるので、鼻は父からのもの、眼は母からのものというように、ランダムにそのどちらかを選んで使いながら、生態構築作業を進めて行く。そのようにして、遺伝子の混(ま)ぜ合せが行なわれる分けである。それがまた、進化のための変化の機能になる。即ち、有性生殖には、《減数分裂》による組み合わせ変化と《交配》による混ぜ合わせ変化の二つの変化機能が備わっているのである。
・この宇宙では、変化の機能が強度に働き過ぎると、反(かえ)って変化を少なくしてしまうという《偏差逓減の法則》が働いている。
・神様は、その激(はげ)し過ぎる変化の機能である有性生殖に、制限の枠を填(は)められたのである。即ち《種の確立》てある。神様は、交配は同種間で行った場合にのみ有効で、異種間の交配では、一代雑種が出来るとか、或は発生不能になるとかして、子孫は残せないという掟(おきて)を定められたのである。通常はそれを《不稔の境界》と呼んでいる。
・カンブリア紀に行われた生物の爆発的分科こそは、神様が有性生殖という進化システムを作り足されたことによって起ったものであることは間違いあるまい。
・神様は、この有性生殖のシステムを土台にして、ポピュレーションを減ずることなく、しかも《優性選択》の実の方は充分に上がるという巧妙なシステムを、各種お作りになった。前掲の《蟻の結婚飛行》《ハーレム》《精子競泳》がそれである。それ等の《優性選択》のシステムのどれもが、雄(おす)の方だけが淘汰選択の対象になっており、雌(めす)には、淘汰が及ばないように出来ていることに気付かれたい。
・幼少時の死亡率が、雄(おす)の方が雌(めす)よりも遥かに高いということは、生体の発生成長の仕組みの中からは、そうなる必然性のようなものは全く見出せない。だから、どうもこれは、神様が、実効ある優性選択を実現するために、故意にそのようになさった、或は、故意に雄(おす)をひ弱にお作りになったと考えるより他にないのである。そうした論理から、幼少時の死亡率が男性の方が高いという優性選択の仕組みは、神様が意識的に作り出された《淘汰原理》の一つであることはほぼ確実である。
・生殖細胞は、蛋白質の製造工場等を整備しているものと、それを整備せず、ただDNAのテープとその運搬手段だけしか持っていないものとの2種に別れた。そして我々は、蛋白質製造工場等を整備している方を《雌(めす)》と呼び、DNAのテープだけしか持っていない方を《雄(おす)》と呼んでいる理(わけ)である。この辺りに、神様の木目の細かい経済性、合理性が伺える。
・優性選択に際して、淘汰選択の対象になるのは、当然《雄(おす)》の側ということになる。精子競泳では、卵子内突入に成功する1尾を残して、他の数億というような膨大な数の精子が、未使用廃棄処分にされている。そうした精子に、蛋白質製造工場等を持たせたりしていては、とても経済的にやっては行けなくなる。神様は、そういうことで、《雌(めす)》を選択の主体にし《雄(おす)》を選択の客体としてお作りになったのである。両者の性格等の違いも、そうした関係性を基盤にしてお決めになったようである。ところで、そうした性格の違いから、人間の場合には、両性の間に、損得が生じてくる。そのことに関しては、また別の機会に詳述することになると思う。
・宇宙の歴史を科学的に観察すると、性(セックス)=有性生殖は、神様がお作りになった最も高度で、最も巧妙な進化システムなのである。
男と女というのは人類の永遠のテーマかと思っていたら、何と、人類よりも、はるか昔、今から6億年ほど前、カンブリア紀が、男の女の起源と聞くと、正直、驚いてしまう。確かに、雄同士が雌を巡って、喧嘩をしたり、技を競ったりする様子は、動物を見れば、珍しいことではない。それが有性生殖を持つものの宿命と考えれば、男と女の問題に、なかなか答えが出て来ないことも当然と言えば、当然だろう。
と考えると、神がいる、いないは別として、この世界が望んでいたものの1つが見えてくる。それは当たり前のことだが「進化」ということだ。僕は、進化というのは、その時々の環境の適応するために成されるものだと考えて来た。つまり、環境の変化というものの中で、何とか生き残るために生まれたシステムが「進化」だと思っていたのだが、それは違うというのが、この項目を読むと分かって来る。目的は「環境への適応」ではなく、目的は「進化」そのものだろう。そう考えないと、わざわざ炭素資源を地球から奪い、遺伝と変異というシステムを作り、さらに有性生殖まで作る意味はない。何故なら、「環境への適応」だけが目的だとするなら、今もなお原生生物が存在する理由を説明できないからだ。
何故なのか分からないが、この世界は「進化」を求めている、ここで僕が、そう断言しても間違いはないだろう。
第1章第2節あらまし
